「ねえ、桂子の話聴いた？」

「桂子って、三組の？テニス部だった子？
途中で転校したよね。」

「そう、その山中桂子。彼女が転校した理由がね
お父さんの転勤じゃなかったって話。」

「ううん、知らないわ。けど今頃なんで？」

「この間、北条くんに会ったのよ。偶然。」

「あ、当時桂子の彼氏だった。」

「そう、あの子らはもう有名だったもんね。
でも転校で分かれることになった、って思ってた。」

「なんで？北条くんも知らなかったの？
桂子の引っ越し先。」

「教えてもらえなかったって。当時はね。」

「どういうこと？」

「桂子の転校ってすごく突然だったじゃない。」

「うん、元一組のみんなで家に行ったよね。
もう引っ越ししたあとだったけど。」

「そうそう。ねぇ、マヨッチ。部屋にいかん？」

真理子は、休憩用にと部屋も取ってくれていた。


「そうやね。孝之くんも待ってるかも。」

「ああ、あいつは大丈夫。釣りに行くって
湖に行ったから夕方まで帰らんわ。」

浴衣に着替えて、案内された部屋へ。
部屋は、広い和室構え。

「屋上にも露天風呂がありますから。」
そう言って案内してくれた
仲居さんが帰っていった。

軒先が大きく伸びた軒下に、
４人くらいがゆったり入れそうな露天風呂。

「かんぱ～い！」
二人だけで昼間っからビールで乾杯。


「ここでも温泉が入れるんやね。」

「そうそう。」

「真理子は、前にも来たことがあるんや。」

「うん、ここええなぁと思って前々から
マヨッチにも言うてあげようと思ってたんや。
入る？」

「ううん、まだいい。」

「じゃあ」と言っておつまみの袋を開けて
ビールを注いでくれる真理子。

私は、桂子の話の続きが気になった。

「北条くんは元気そうだった？」

「うん。あ、そうや桂子の話。」

「うん。」

「実は、北条くん桂子と結婚したんやって。」

「え～？！それよかったやん。
でもだれからも聴いたことないよ。」

「そらそやわ。誰にも言うてないって。
それに北条くんらこっちに住んでない。」

「え？どういうこと？」

「たまたまお墓参りで帰ってきてたけど
誰にも連絡してないって。
桂子は？って聴いたら『元気や』って言うから。
『会いたい』っていうと『真理子だけやで』って。
車に行ったら桂子がおったんよ。」

「え？ほんとに？」

「そう、それで『久しぶり～！』言うて喜んどったら
『ごめん、もう帰るから。』って。
『どうして？』って聞いたら
『あんまりここにいたくないから。』って。」

「それでどうしたん？」

「なかなか言うてくれんかったけど電話番号を聞いて
２日ぐらいあとに電話しようと思ったら
桂子から電話があって『会える？』って。
こっちにおると思わんかったから
『会える会える』ってでかけていったん。そしたら。」

コップに残ったビールを一気に飲むと
「風呂いこ！」
と、浴衣を脱ぎ捨ててビールとコップを持って
外の露天風呂へ

テーマ:官能小説 - ジャンル:アダルト

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