そんな日はもう、部活に力が入らない。
誰もいない、来ないなら、
部室ででもやりたかった。
谷若はバレーボール部、
オレはバスケット部。
体育館で一緒になる日もあるが
ハンドボール部が入ると
どちらかが休みになる。
体操服、ユニフォーム姿の
谷若も魅力的だ。
先輩たちの中にも、谷若が来ると
見入ってしまう人もいる。
揺れる胸は誰も見て欲しくない。
自分だけのものだと言いたい。
たまたま、
谷若と部活の終わりが一緒になった。
偶然、お互い一人。
「ねえ、最近気になってるんだけど。」
オレが胸を見ているのがバレたのか・・・
「何が?」努めて冷静に答えたつもり。
「なんかあったでしょ。」
「なんで?」
「誰か好きな人ができたって感じ。」
「なんでそんなこと。」
「できたでしょ?」
「いや、いないよ、そんな人。」
「ムキにならなくてもいいじゃん。」
「ムキになんかなってないよ。
それより何でそんなことをお前が気にするんだよ。」
「確かに私はあなたの彼女じゃないし、気にする必要は
ないんだけど・・・、彼女いるの?」
「いないよ。」
「そっか。じゃあ好きな人は、彼女にしたい人?」
「だから、いないって。」
いつの間にか二人で学校から離れて
普段ならバスに乗るバス停を1個過ぎた。
谷若の家は、次のバス停の近くだ。歩くのか?
オレにとっては願ってもない展開だけど。
「ホントにいない?」
「いないよ。」
暗いからよく見えなかったが
少し残念そうな顔だった。
「お前はどうなんだよ。彼氏。」
「いないわ。」
「ウソいえ。年上がいいって言ってるから
先輩とつきあってるって噂だぜ。」
「ああ、田沢くんね。入学早々に告られたときに
そう言って断ったの。
ちょうどカッコいい先輩から声をかけられてたし。」
「え?」
「部活の勧誘よ。山崎先輩から『バレー部に来い』
って、ちょうど誘われてたの。
山崎先輩は中学からの先輩だし、カッコ良くて人気もあったし
私も好きだったし・・・。
でも男子だって、女子のバスケ部の先輩から誘われたでしょ。」
「まあ、そうだな。そういうことか。」
「その後、山崎先輩と話しているところを
田沢くんに見られたの。それで終わったところで
『お前年上がいいのか?』なんて聞くから
『そうよ』って答えただけなのに。」
まっすぐ前を見ながら歩きながら話す谷若が
少し大人に見えた。
街灯が照らす制服を押し上げる胸も魅力的だ。
心のどこかで安心している。
「谷若は、まだ誰のものでもない。」
そう思うと勃ってきた。
周りに人はいない。近くに神社がある。
誘ったら来るだろうか。
断られたときが惨めだ。
でもその胸、乳を見たい。
そこまで行かなくても
「彼女になってくれ。」と
告ってみるチャンスかもしれない。
彼女だって、バスに乗れたはずなのに
オレとここまで二人だけで歩いてきてる。
でも断られたら・・・
次のバス停がもう近づいてくる。
神社はもうすぐだ。
言うなら今だ。
「なあ、谷若。」
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